日本縦断2015その9 佐世保~池島~長崎 ついに念願の池島へ

ついに念願だった炭鉱の島、池島へ行く日がやって来ました。
池島では「池島さるく」という炭鉱と炭住などの跡を見て歩くツアーを申し込んでいたので、集合時間の関係で朝早めのバスに乗らなければいけなかったのですが、宿の前がちょうどバス停だったので、悠々セーフ。
西海橋でバスを乗り継ぎ、小さな入り江の集落を一つ一つまわりつつ宿から乗り継ぎ時間を入れて2時間半ほどで池島行きのフェリーが出る瀬戸港近くのバス停へ到着。
バス停から港まで少し離れている上に、乗り継ぎ時間が15分しかなかったのでどうなるか心配でしたが、行ってみると余裕を持って乗船出来ました。
30分位で池島に到着。
港では炭鉱ガイドの人が待っていて、船着き場から早速説明が始まります。
昔はこの港が埋まるくらい船があったらしいのですが、今はこのくらい。
しかも全部が使われているわけではないとか。
池島開発総合センターで池島炭鉱の歴史のビデオを見て、弁当を食べた後、いよいよトロッコ列車で入坑。
ヘルメットとヘッドライトは炭鉱で実際に使われているものを使用します。
なのでヘッドライトはアウトドア用品でよくある電池式ではなく、背中に背負ったオレンジ色のバッテリーから電気が供給されています。
現在、池島では石炭の採掘はされていないのですが、外国人への技術の継承を目的とした実習が行われているので、坑内はほぼ当時のままの状態になっています。
1952年(昭和27年)採掘開始と歴史が新しいので、炭鉱跡の施設によくある江戸時代のようなオール手掘りの光景はここにはありません。
実習生のためのインドネシア語とベトナム語が併記されている看板。
穿孔機の操作体験や、採炭機の模擬運転、電源喪失時の体験など盛り沢山で2時間ほどのツアーはあっという間に終了。
坑内ツアーが終わると、別の島民のガイドさんと共に島内観光ツアーに出発します。
採炭夫を坑内へ運んでいた高速電車。
最高時速は50km/hも出たらしいです。
どんどん堀り進んでいくと、これを使っても採炭現場まで1時間くらいかかるので採炭出来る時間も短くなり、その分効率も落ちていくのが閉山の一因にもなったようです。
炭鉱全体は今でも三井松島リソーシスという会社が管理しているので(炭鉱ガイドさんもここの人)、本来関係者以外立ち入り禁止なのですが、この島内ツアーではガンガンとどこでも入って行きます(笑)。
今でも残る炭住。
炭鉱が管理していない数棟は今でも住人がいるのですが、9割以上無人状態です。
その炭住の1室が展示用に公開されています。
炭住の屋上から。
どこまでも広がる無人の団地。
でも島が賑わっていた頃と変わらず桜は咲く。
当時は画期的だったに違いない8階建てのアパート。
エレベーターがないので、4階と5階の間から裏へ渡り廊下を付けて4階建ての上に4階建てが乗ってる風にしたとか何とか。
最初は本土から泳いできたらしいイノシシが、今爆発的に増えてるということで、島中にワナが仕掛けられてます。
第二立坑は直下まで行ったのですが、コンクリートや鉄の落下物が多く、すぐに引き返すようにガイドさんから言われました。
第二立坑でツアーは終了したので宿に荷物を置き、ツアーでまわらなかったところを引き続き散策します。
かつての商店街。店は1軒だけ開いてました。
真ん中に理容室の看板が見えますが、宿(池島中央会館)に展示されてた街並みを記した地図によると、ここには歯科とか寿司屋もあったようです。
その裏手にはスナック・雀荘と隣はボーリング場の跡。
島で一番高い場所の四方岳からの眺め。
名前は立派ですが標高114m、麓から10分足らずで山頂に着きます。
眼下には長崎市立池島小中学校。
ピーク時は1800人の生徒がいたらしいですが、新学期からは小学生が1人だけ。
中学校は休校しているそうです。
炭住には原則としてお風呂はありませんでした。
係長以上になると、お風呂付の社宅に入れたそうです。
その名残か、島には「長崎市池島東浴場」と「長崎市池島港浴場」と、2ヶ所の市営浴場があります。
ここに入るのを今回楽しみにしてたのですが……
宿に近い「東浴場」はこの日は休業日、「港浴場」は少し離れているのですが「イノシシが出るから夜出歩くのはやめたほうがイイ」との言葉に従って今回は断念……
残念。
夕食は「かあちゃんの店」へ。
夕食は実質ここでしか食べられず、一番遅くまで開いてる外食が出来る店ですが、18時頃までしか開いていません。
宿の人に「何時頃に何食べるか言ってから散策したほうがイイよ。早く閉めるかもしれないから。」
といわれ、17時半に食べに行くと予約をしてから散策をしたのです。
かつてここと向かいの更地はショッピングセンターだったのですが、今はかあちゃんの店以外に店は無く、ネコ天国になっています。
宿に簡単な自炊設備はあるので、ここで食べずに食材を持ち込む手もあるようです。
一晩お世話になった「長崎市池島中央会館」。
ここに泊まる人は炭鉱好きな人が多いようで、夜も同宿の人たちと色々勉強会的なことをして濃い一夜を過ごしました。
フェリーの港へ歩きがてら、前の日に行けなかった郷地区を散策。
郷地区は池島が炭鉱の島になる前からある集落で、昔は半農半漁だったらしいのですが、今はほとんどの家が空き家になってしまっています。
石炭産業は国の政策により発展して、国の政策により衰退していきました。
振り返ってサトウキビ農業も今は国によって補助金が出されて、それにより農家の人たちが生活できるので若い人も残ることが出来る。
ただ、TPPの行方次第では石炭産業のようにならないとも限らず、食べていける仕事がないとその場所からは人が離れて行ってしまう……
ちょっと複雑な気持ちになりつつ次の目的地の長崎へ。